
都築は下地材としての構造用合板という住宅建築には欠かすことのできない建材を用い作品を作ってきました。工業製品である合板は、桂剥きによって生まれる「リピートする木目」が特徴であり、それは強度確保と生産効率によって生まれる形になります。 また、東京都心から電車で1時間圏内に点在するニュータウンは、大量生産型の住宅を一括で開発することで利便性を保ちつつコストを抑えていて、それはまさに合板の「均一化による経済効率」が形になったものだと都築は考えます。 新作「ニュー合板タウン」で都築は丘陵地帯にツーバイフォーで建てられた家が立ち並ぶ千葉の大規模ニュータウン「ユーカリが丘」に着目しました。ニュータウンの生活はモータリゼーションと一体になっており、通勤通学は電車を用い、それ以外は車の生活をおくっています。そこには電線と白線が網羅され、電力インフラと交通物流インフラのどちらも都心の終わりと郊外を象徴しています。しかし、ニュータウンは本当に画一的で無味な街なのだろうかと都築は疑問に思いました。 リサーチのため訪れた数々のニュータウンは住宅が整然と並ぶ中に多くの緑地が点在し、向こうに山、こちらには水辺が広がる。雲がたなびく空と新しい家々に夕焼けがよく映えていたと言います。 都築はニュータウンと合板はどちらも大量生産の冷たさを持ちながら、一方で有機的な自然を含んでおり、人工と自然の狭間に揺れる存在だと考えます。都築は合板に生じる見せることを意図していない木目模様に、やまと絵の雲霞を見出しました。木目を大和絵の雲・すやり霞に見立てることで、ニュータウンの持つ多様性を合板に落とし込みます。 合板に雲がたなびくと、量産型の家々の街並みにも山がのぞき、霞立ち、せせらぎが聞こえてきます。日本人にとって、いまや立ち並ぶ建売り住宅地が、郷愁の原風景になりつつあるのではないでしょうか。
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