
大野公士は1971年東京で生まれ。10数年アムステルダムを中心にヨーロッパ各国で幅広く活動してきました。現在は横浜を拠点とし制作しています。 大野の表現についての重要な概念は、「存在についての考察」と「死生観について」と言えるでしょう。大野はこれらの概念が世界とどのように関係しているのかを考え、分析しています。そのため、美大卒業後も医大に入学し解剖学と美術の関係について研究を続けました。 大野は現在に至るまで、量子論や相対性理論だけでなく、古代東洋、エジプト、ギリシャ哲学など世界各地で探求されている「存在」について考察しています。 大野の作品や表現は、彼の思考実験やサイトスペシフィックな文化や歴史と統合されたときに生み出されます。 「質量を有する物質から構成される身体の生命がうける『選別』に対する鎮魂の形と、その魂の『祈り』に対する形を考察する空間を表現することにある」と大野は言います。彼は「質量とは物質を構成する本質的な量であり、その物質により構成される人体に他ならない。物質により構成される人体によって生命を維持することが人間の実存とするならば、精神とはその肉体の脳機能により特定できるのだろうか? 物質である脳ニューロンが精神の全てを司っているならば、『祈り』という行為もまた、物質による作用なのだろうか? 祈りとは、物理法則によらない超自然存在とのコミニュケーションであり、宗教的な霊性との関係も大きい」と疑問を呈します。 本展では人間の歴史の中で選択されてしまう生命と向き合うために、質量と祈りについて考察してそれを表現します。 まず『祈り』の一形態として、楠一木の内部を極限まで彫り抜いて空洞化し「霊性」を象徴すべく立体物を構成しました。 『質量』の表現として、「物質」としての受肉した人間の「生」が「生命の選別」「トリアージ」という状況の中で失われていった生命の鎮魂として、大量生産された「兵器」の航空機模型を空洞化し、それぞれ3対のトリプティークのメタファーとしました。
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