
植松美月は、現実と知覚の境界を探求する現代アーティストである。彼女は鉄や紙といった素材を用いて、反復的な行為を、途方もない時間をかけ、繰り返して制作していく。その行為は世界との接点を見出す試みであるといえる。 ジル・ドゥルーズは「差異と反復」の序論において「反復は一般性ではない。」[1]と示している。植松の制作過程における執拗な反復行為は、まさにこの概念を体現し、紙を切る、染める、スタンプを押すといった単純な動作の繰り返しを通じて、現実世界との新たな関係性を構築していく。 ロザリンド・クラウスは「Sculpture in the Expanded Field」において、彫刻における設置された場所、空間との関係性の重要性、記念碑的な象徴としての役割を指摘している[2]。植松の作品は、制作過程自体を作品の不可欠な要素として取り込むことで、空間を超越した表現を獲得している。クラウスの言う「拡張された彫刻」の概念を独自の方法で具現化していると言える。 植松美月は、日常的な行為と素材を通じて、現実世界との関わり方を再考させる。彼女の作品は知覚と実在、時間と空間の関係性について、鑑賞者に新たな視座を提供するであろう。 [1] ジル・ドゥルーズ著、財津理訳 (1992)『差異と反復』河出書房新社 p.19. 序論の書き出しが「反復は一般性ではない。」 [2] Krauss, R. (1979). Sculpture in the Expanded Field. October, 8, 31-44. p.33. The logic of sculpture, it would seem, is inseparable from the logic of the monument. By virtue of this logic a sculpture is a commemorative representation. It sits in a particular place and speaks in a symbolical tongue about the meaning or use of that place.
ほか 私設・企業コレクション等 3 件
出典は作家・ギャラリーの申告。「確認」は所蔵元で確認済み。
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