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ソウルで活躍する若手女性作家、孫 眞雅(ソン、ジンア)の作品は、絵画が持つイリュージョン作用を巧みに制御しつつ、日常において見慣れた「椅子」を多くモチーフに用いながら、彼女自身の「Self-portrait」を表出しようとするものである。しかし画面には、彼女のポートレイト(横顔)など一切なく、ただチェッカー模様の強い色彩に塗られた「椅子」が描かれ、神経質な細い「糸」がその周りを浮遊しているだけである。比較的強い色を使った画面にもかかわらず、そこには冷ややかで静謐な空気が漂っている。 「椅子」は、彼女の生活における必要不可欠な基点であり、自立した「個人」としてそこから世界を見渡す基準ともなる。また同時に孫は、他者との関わり合い、個人と個人の接点の希薄さが持つ危うさについても言及する。自立した「個」の存在と、いわば「個」の集積である社会との関係性への問いかけが彼女のテーマの一つである。これは、作家だけが占有している特殊な関心事ではないのは言うまでもない。我々が絶えず直面させられている近代以降の大きな課題でもあろう。
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