
鹿野裕介は1992年岐阜県生まれ。 2015年に明星大学造形芸術学部造形芸術学科を卒業。 2013-2014年「アンデパンダン展」/国立新美術館(東京)を皮切りに、2019年「東京インディペンデント2019」/東京藝術大学陳列館(東京)、2021年「中之条ビエンナーレ/やませ(神保家住宅)」(群馬)、また2021年には「Public Aortic aneurysm」/奥多摩町立せせらぎの里美術館(東京)において個展をおこない、表現の幅を広げています。 鹿野は「身の回りの出来事」と「身の回りの出来事ではないこと」を繋ぐ作品を制作しており、そのため「±0」「相殺」というようなイメージが自分の思考の近くをさまよっているようだと言います。 前回の個展で鹿野は、幼い頃の記憶、⼈⽣のトートロジー的な⽅針、先⼈達からのアドバイス、もしくは共通している感覚や悩みなどの考えを作品化し、「墓⽳を掘る」と銘打って開催しました。しかし、「墓⽳を掘る」ということ⾃体は、⽣きているうちにできることで何だかんだで私も⼈間で、⽣きていくことにしれっと貪欲だ。ということで、今回は死後のことを考えようと思い、新作を創り始めました。 鹿野が自ら掘り進めた墓穴は幸運なことにも、画廊の中で閉ざされ機能を失った押し入れであり、何度も塗り重ねられたギャラリーの白い壁でした。その際、鹿野は押し入れの板や木材を持ち帰り、どうにかこうにか舟を作りその舟で水面をすべるように進みたいと考えました。 「濃い霧の中。 それは、⽔蒸気が異常なまでに⽔⾯と交わる中で 私だけがそのグラデーションの外にいるような空間。 空腹感もなく眠たくもならない。 時間さえも分からないので、 いつからいるのかさえ知らない。 不安や恐怖もない。 私以外誰もいないから 幸福であるかさえも分からない。 あるのは霧と⽔と⾈と私だけ。 そこで私は、 ⽣きていた頃を裏返し、 死への浮⼒で死後の世界を⽣き抜くのだ。」
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