
この度、photographers’ galleryでは企画展「沖縄行」を開催する運びとなりました。 本展はいずれも1970年代の沖縄で撮影された川口和之氏による写真展示と長船恒利氏による映像作品で構成されます。 両氏とも、数多くの自主運営ギャラリーが活発に活動していた70年代に制作と発表を始めています。川口氏は77年に兵庫県姫路市にて写真同人「PHOTO STREET」を結成し、長船氏は静岡県藤枝市を拠点に様々なネットワークを作りながら数多くの発表を行ってきました。本展は、会期中に開催する関連イベントとあわせて「WORKSHOP 写真学校」以後の自主ギャラリー、東松照明教室の「PUT」、森山大道教室の「CAMP」、綜合写真専門学校の「プリズム」、沖縄の「あーまん」などの活動を知るうえでも貴重な機会になるでしょう。 大阪南港から船で一昼夜をかけて那覇港に着いた時、車は右を走っていた。76年夏、八重山から本島を巡り様々な人々に出会った事をきっかけに、繰り返し沖縄を訪れ、写真との関係を今に至るまで続ける事になる。40年に亘る沖縄とのかかわりの中で、今回はフィルム時代に撮影した物を中心に写真集を編んだ。 長い時を経て光の化石となった膨大なネガに向き合うと、視えないものを見ようともがいていた時代の記憶が瞬時に蘇る。「沖縄幻視行」は、37年前に発表した当時のタイトルだが、「写真になったものを通して他者に伝えるコミュニケーション」が写真行為だとすれば、変貌を続ける沖縄の状況に向き合っていく時に意識の底で持ち続けるべき言葉と信じている。これからも視えないものが見えたと想える時を希求しながら写真と共に彷徨う事を繰り返していくのだろう。 初期の「沖縄幻視行」は1978年に13×18の印画紙で48枚をプリントして製本した物を私家版写真集として30部発行し、1993年に大宮のGallery温々で個展を行っている。76年から78年秋まで4回の沖縄行を纏めた物だったが、宮古・八重山の写真だけで構成されていた。 私の40年以上に亘る写真活動の中で「ぬじゅん展の1週間」がメルクマークになっている事を意識し始めてから、長い時が経っていた。2007年に長船さんからぬじゅん展を記録した映像作品を送って頂き、 当時の記憶を蘇らせた事をきっかけに昔のネガを再検証し始める事になる。その過程で2010年に発行した写真集『ONLY YESTERDAY』が生まれ、更に数多くの沖縄本島で撮られた写真や79年のぬじゅん展の記憶やネガ、その後のフィルム時代の写真を入れて再構成し、2冊目の写真集として出版した物が、2015年蒼穹舎版『沖縄幻視行』である。 今回、長船さんの映像作品と私のフィルム時代の沖縄を纏めた写真で二人展とする機会を得た。長船さんが初めて沖縄に入って撮られた写真群は79年4月にPUTで「在るものⅥ」として発表されているが、その当時長船氏が示した文章に「在るもの」から飛躍するきっかけと混沌に向かう予兆が示されている。 「今私たちがやろうとしている事は、強靭なコンセプトに裏打ちされていながらも、写真のコンセプトを裏切っていく、その二段階の飛躍なのだ。そのことを支えるのは写された対象物への価値ではなくて、写真そのもののバイタリティこそが大事なのだ。」 沖縄が持っている強烈な磁場に当てられた長船氏の迷いと決意が記された文章と、その想いを同じくして既に35年が経過した。強靭なコンセプトを偶然が裏切る構図を自己認識し肯定する作業が写真行為である側面は間違いなく存在する。 写真行為をめぐる希望とその相反する諦念は深く果てのない道である。 この映像作品は79年4月に一度だけ自主運営ギャラリーPUT(東京)にて上映した後、沈黙していましたが、 展示内容/DVDプロジェクション 17分53秒 再編集版 2007年
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