読み込み中…

Plant(植物)Vessel(器)Planet(惑星)の三つをテーマとし、記号性、概念的フォルムの振動を描出します。中西 圭子 中西圭子の淡彩鉛筆画は、一度でも見た人の心耳に忘れることのできない独特の情調の響きを残す。が、その魅惑の組成は、見かけほど一様でも単純でもない。根底に、黴(かび)や醗酵になじんできた南東アジアの、湿潤で陰影に富んだ風土を思わせるものがあることは確かだ。と同時に、乾いた荒野に落ちる星々の破片から拾い集めてきたかのごとき、硬質な観念の瞬きがあることも否定できない。親しさと異界性の同居。別言すれば、「懐かしさ」と「神秘感」の入り混じった不思議な感覚が、見る者を捉えるのである。とはいえ、画家は懐かしげな風土を描写するわけでも、神秘的な観念を図示するわけでもない。鉛筆による素描という技法はしばしば観念や情景を説明的にイラストレイトする弊に陥りがちだけれど、中西の絵はそれとは似て非なるものであって、むしろ、叙述も説明もできない、世界の呼気のようなもの、宇宙の出入り口のようなものの開示に向けて営まれているのである。秘教の営みだろうか。否。絵画として平明・明晰な道をたどっているにすぎない。しかし、この世で平明と見えるものがしばしばそうであるように、中西の平明な絵画づくりはなんと精妙な特異さに貫かれていることだろうか。
終了
この展覧会の記事・批評をご存じでしたら、+ メディアを追加