
花代は、写真家・芸妓・ミュージシャン・モデルなど多彩に活動するアーティストであり、日常を幻想的な色彩で切り取る写真やコラージュ、それらに音楽などを加えたインスタレーションを発表しています。パレ・ド・トーキョーはじめ多数の展覧会を行うほか、ボーカルとしてはメイヨ・トンプソン、ジョナサン・ペプラー、秋田昌美、中原昌也らと共作。またトニー・コンラッドの舞台音楽でも共演しました。主な写真作品集に『MAGMA』『berlin』『点子』、音楽アルバムに『Gift/献上』『wooden veil』など。 http://www.hanayo.com 彼女は、その場所にインスパイアされ、その時の自分との線のような繋がりを表現する展示を続けて来ました。 SYP GALLERYを初めて訪れた時、道に迷ってしまったそうです。その時、彼女のなかに不思議な場所に佇んでいる感覚が生じ、その事象自体が印象に残りました。 曙橋の周りには 幽霊坂、かっぱ坂、念仏坂、暗闇坂、蜘蛛切坂など奇妙な名の坂が多くあり、調べていくうちに今回の展覧会のタイトルである、“夜になると元気になる婆さん”の伝承をみつけました。 その伝承とは、こうです。江戸時代いまの新宿区大京町あたりに大岡雲峯という画家が住んでいました。ある時その家の手伝い婆さんが奇病にかかり、体はやせ衰えていき、昼間は足腰も立たないのに、夜になると部屋中騒ぎ廻っている。 心優しい雲峯は身寄りのない老婆をいたわり世話をしているが、いっこうに良くならず、むしろ悪化していく。老婆の動作があまりにも奇妙なので友人の医師に相談したところ、世間でいう狸の仕業かもしれないという。そこで狸を追い払う方法を試すが、どれも効き目がなかった。 ある時、読み書きができないはずの婆さんが家人に歌を詠み、画を描き与えるという不思議な行動をした。 その夜、家人がそっと婆さんの様子を見ていると床の中から大きな尻尾が出ている。それ狸だということで、布団を叩いたところ、髪の毛が真っ白になった古狸が死んでいた。そして老婆も狸と一緒に息を引き取ってしまった。 「ペストやスペイン風邪など歴史上の出来事と思っていたパンデミックが私たちのリアリティになったしまった今、雲峯が体験した超現象を手がかりに、その坂の名前がつけられた頃と今との繋がりを考えることが、不自由な昨今をどうやって生きていくのかのヒントになるような感じがしている」と、彼女は言います。 本展では、過去と現在、伝承と現実という、不思議な感覚と共にリアルを感じる映像作品とインスタレーションを展開致します。 化け狸 花代 映像 斎藤玲児 音 中原昌也
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