
小曽川瑠那は 1978 年 愛知県生まれ 2002 年 武蔵野美術大学造形学部工芸工業デザイン学科プラスチックコース卒業 2006 年 富山ガラス造形研究所造形科卒業 2008 年 富山ガラス造形研究所研究科修了 金沢芸術創造財団 金沢卯辰山工芸工房(-‘11.3) 工芸と現代美術の境界を超え、ガラスを用いた作品制作を行う小曽川は、ガラスを「時間を永遠に閉じ込められる素材」と表現し、経年変化したものや、壊れやすく消えそうなものにも美しさがあると考えています。 小曽川は飛騨高山に移住後、長い時間をかけて育まれてきた自然豊かな土地と、地に根づく暮らしに魅了されているといいます。一方で、地方の過疎化など社会問題を身近に感じる中で、風化してゆくものやこと、身体の記憶、慣習といった日常や土地にまつわる記憶をどのように留めるかについても関心を寄せます。経年劣化しないガラスを儚い命や記憶を保管するための記録媒体と捉え、命・記憶・風景など、見えないものや変化していくものをガラスで記録し続けています。 本展では、コロナ禍により、自身の取り巻く環境の変化やそれにより新たな視点が生まれたことを視覚化する展示を試みます。 メイン作品である《息を織る》は、2014 年に病気を患ったことで、自身の生の記録(息の痕跡)を残したいという考えをきっかけに始まり、一時中断した後、コロナ禍を契機に 2021 年より制作を再開しました。同時に、日常生活の制限がなされる中で、いつもと変わらぬ自然の営みに心動かれ、自宅周辺の風景写真を撮りはじめます。これらの行為を積み重ねることで、自分自身がこの土地に生かされていると感じ、息を吹き込んだガラスの玉と風景写真で構成された《息を織る -May2021》が完成しました。 息の形を記録するという意図から生まれた吹きガラスには、息を吹き込んだ日の日付が刻まれており、キャンバスに書かれた数字は撮影場所の座標であり、日付順にレイヤーされた写真は本展のタイトルが示すように、日々の積み重ねを表しています。また、本展の英語タイトルである”Tracing the Scenery”は、これらの風景を「辿る、求める、描く」という意味で付けられました。小曽川によって透明なガラスの中に刻まれた時間、風景、記憶を是非ご高覧ください。
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