
1964年生まれの三田村は、国内外で「人が足を踏み入れられるドラマ」をテーマに、日常の追憶や 感傷をモチーフに写真や日用品などのメディアを組み合わせたインスタレーションを中心に発表を続 けています。近年は、ライフワークとして滞在型アートプロジェクト「Art & Breakfast」を世界各 地で開催していています。 本展では、2021 年の元日から毎日制作している百科事典を主役にしたコラージュ作品を展示しま す。三田村は、生まれ育った家にあった百科事典の第 1 巻から順に、1日 20 ページほどの範囲で目 についた写真や図を薄紙の上に描き写し、それらを重ねたり離したりして一枚の画を作り出します。 本の中で見つけた写真(ファウンド・フォト)をドローイングしてコラージュするこの手法を、三田村は 「ファウンドローイング」と名付け、そこに存在した事実を確かめるように景色や人や物事の輪郭をなぞり、情報を伝えるための写真や画が人格を持って新しい役割を演じ始めることを期待します。 例えば、サの項目で「猿、サルトル」といった具合に、五十音順の繋がりで偶然に出会 ったモチー フが啓示のような必然を自動的に生成します。頁に刷られた活字を読み、画の意味を解く。このよう に、ファウンドローイングは出会ったもので構成する三田村のインスタレーションのプロセスを、そ のまま平面に置き換えた制作メソッドだと言えます。 三田村は「こうして毎日、百科事典に向かい、脈絡なくページを横断する項目を追いながら、点から点へ、視点と思考が抽象的な時空間を旅する。日々、何を生み出せるのかわからない。“わからない”ことを、旅で初めて訪れる場所のように楽しんでいる。満足に仕上がらない日も、それがその日の一枚だと受け入れる」と言います。 本展で三田村と一緒に初めての場所を訪れていただければ思います。 助成(公財)小笠原敏晶記念財団 広報協力:YN Associates
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