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去年の今頃描いた絵が、いま目の前にある。 色がまだキャンバスの上で舞っているようで、その懐かしい生々しさに奇妙な心地を覚える。一年経った私の身体の細胞は全部入れ替わってすでに異なる物質になっているのに、私は相変わらず私らしさを維持しているのが不思議でならない。 生命は自分を保とうとする構造だ。外界と区切りを持ち、エネルギーを取り込み、形を保とうとする。とめどない空気を輝かせながら連続している蝋燭のこの火も、川のあの水も、森のその風も、一瞬たりとも同じだったことはない。 それでもなお、火は光り、水は流れ、風は吹き続ける。作品たちから跳ね返ってくる色で、私もまた私を続けていくのだと知り、筆を取る。 2026年 春 久保田沙耶
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